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案件概要
| 事業内容 | 就労移行支援事業 |
|---|---|
| 売主 | 対象会社の株主兼代表 |
| 買手 | 個人投資家 |
| 対象会社の状況 | 黒字を維持する一方、債務超過の状態 |
結果
| 譲渡形態 | 株式譲渡 |
|---|---|
| 譲渡価格 | 備忘価格1円 |
| 主な論点 | 債務超過会社の 引き継ぎ条件 |
| 成約結果 | 条件整理を経て 譲渡成立 |
就労移行支援事業を営む会社の株主兼代表による株式譲渡案件です。
買手は個人投資家で、最終的には備忘価格1円での株式譲渡となりました。
対象会社は、損益計算書上は若干の黒字を維持していたものの、借入負担が重く、財務面では債務超過の状態にありました。
そのため、本件では一般的な株式譲渡案件のように「いくらで売るか」が中心論点になるのではなく、誰がどのような前提で引き継ぐのか、そして債務超過会社の譲渡をどう成立させるかが大きなテーマとなりました。
本件でまず整理すべきだったのは、対象会社がPL上では黒字である一方、BS上では借入が重く、債務超過に陥っていたという点です。
事業そのものは継続しており、一定の収益も出ていましたが、株式価値という観点では評価がつきにくい状況でした。
このような案件では、売主としては「黒字なのになぜ値段がつかないのか」という感覚を持ちやすく、買手としても「引き継いだ後にどこまで立て直せるか」が見えなければ、引受けの判断がしにくくなります。
本件でも、単純に収益状況だけを見れば事業継続の余地はある一方で、借入や財務状態を踏まえると、通常の価格交渉で進められる案件ではありませんでした。
そのため、本件ではまず、株式価値と事業価値は必ずしも一致しないことを丁寧に整理し、売主・買手の双方が同じ前提に立てるようにすることが重要でした。
本件で特に難しかったのは、価格条件そのものではなく、買手にとってこの会社を引き継ぐ意味をどう整理するかでした。
1円譲渡であっても、実際には借入や将来の事業運営を引き受けることになるため、買手にとっての負担は小さくありません。
一方で売主としても、単に引き取ってくれる相手であればよいというわけではなく、事業を継続し、利用者や現場を含めてきちんと引き継いでもらえるかが重要でした。
就労移行支援という事業の性質上、数字だけでは測れない継続性や運営の安定性も重視する必要がありました。
そのため本件では、
最終的には、対象会社の株式を備忘価格1円で譲渡する形で合意に至りました。
これは、株式自体に経済的価値があるというよりも、債務超過の状態を前提に、事業を引き継ぎ、今後の改善可能性に賭ける形での譲渡です。
本件で重要だったのは、1円という価格を成立させることではなく、その価格になる理由を売主・買手の双方が理解し、納得できる状態をつくることでした。
加えて、引継ぎ後の運営や体制について一定の整理を行うことで、買手にとっては事業継続の可能性を見極めやすくなり、売主にとっても会社を次につなぐ道筋を描くことができました。
本件は、PLが黒字であっても、借入状況やBSの状態によっては株式価値がつかないこと、そしてそのような案件では価格以上に引継ぎ後の現実性が重要になることを示す事例です。
M&Aでは、必ずしも高値譲渡だけが成功ではなく、財務状況を踏まえたうえで、事業を継続できる相手に引き継ぐことが大きな意味を持つ場合があります。
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